
CINRA, Inc.には映像やイベント、音声コンテンツなどを制作するLXチームがあります。CINRAメディアを運用するなかで得たプランニング力、企画力、キャスティング力などを活かして制作されたものは、ストーリー性のある映像だったり、ユニークなイベント企画だったり。それらが話題を集める機会も増えてきました。
クライアントワークから自主企画までさまざまな制作物がありますが、どちらも核となるのは、「想いをかたちにするコンセプトづくり」と、「掛け合わせを大事にした企画立案」です。
今回は、LXチームがクライアントワークのなかでどのようなプロセスでコンセプト策定を行なっているのか、そして、ターゲットに想いを届けるために必要な企画づくりの視点を紹介します。
受け手に提供したい価値を言語化した「コンセプト」が、映像やイベントを制作するうえでなぜ大事なのか。それは、コンセプトがあれば、企業などのブランドメッセージをしっかりと制作物に落とし込むことができるからです。
とくに多くの人が制作に携わるイベントや映像の現場では、双方からたくさんのアイデアが生まれます。でも、「いいアイデア」の基準は人それぞれ。正解がたくさんあるからこそ、どれが本当の正解なのかを迷う場面は大いに出てきます。
キャスティングの候補、映像のトーン、イベントの装飾ひとつをとっても、その判断や方向性を見誤ると目的の達成から遠のいたアウトプットへと仕上がってしまうケースは少なくはありません。
本質を捉えたコンセプトがあれば、プロジェクトの目指すべき姿にいつでも立ち返ることができ、全員で最高のクリエイティブを目指すことができます。
CINRAのLXチームによるクライアントワークも同様に、本質を捉えることを大事にしています。コンセプトがすでにクライアント側で決まっていて「イベント開催でお願いします」という依頼をいただく場合でも、企業側にはどんな課題があるのか、何を伝えたいと思っているのかという理念や想いをまずはお聞きするようにしています。
CINRAがコンセプト策定を行なう場合。企業が持つ課題や想いと、社会との接点を見つけながらコンセプトというかたちに落とし込み、ターゲットに対して「どんなアウトプットが適切か(イベント開催なのか、映像制作なのか、Podcastなどの音声コンテンツなのか)」を考えて提案しています。
先ほど「LXチームは、クライアントの課題感や、伝えたいことの本質を大事にする」と述べましたが、これはCINRAが取り入れているソリューション「ストーリーブランディング」が背景にあります。
「ストーリーブランディング」とは、企業が持つパーパスや理念・ミッションなどの「WHY」を起点にして、どのようなプロジェクトで実現するかの戦略「HOW」を考え、最後にどんな施策やアウトプットを「WHAT」として用いるかを一気通貫で捉える施策のこと。これにより、届けたい相手に企業の想いが伝わり、強い共感・情緒価値を生むことができると考えています。

CINRA, Inc.のブランディングソリューション「ストーリーブランディング」資料より
これをLXチームの制作プロセスでは、以下のように落とし込んでいます。
・WHY(理念)は、クライアントの課題感や理念を深堀りするために「ヒアリング」を実施
・HOW(戦略)は、ヒアリングをもとに「コンセプト」の策定を行なう
・WHAT(施策)は、コンセプトから具体的な「アウトプット」「企画」をつくる
次からは、LXチームが行なっているコンセプト策定から企画立案までのプロセスを紹介します。
コンセプトを策定するために、まずはクライアント担当者に対してヒアリングを行ないます。
予算感、ターゲットイメージ、課題感や伝えたい想い、目指すアウトプットのイメージなどを一通りうかがいますが、まだイメージが沸いていない、想いはあるが言語化できていないという場合には、その想いを紐解きながら一緒にすり合わせていく作業をすることもあります。
そのコンテンツを見た人がどういう状況になっていたらいいかという読後感のようなことから、それによって企業は何を伝えたいのかなどを深掘りし、企業が本当に必要とするチャレンジは何かをともに考えるようなヒアリングをしています。
ほかにも、過去にどんな施策をしていたかをうかがうことも。その案件はどういう思いだったのか、良し悪し含めて社内外の反響を聞くことで、企業の価値観や「いいもの」の共通点を導き出していくのです。
ヒアリング後は、社内のプロジェクトメンバーでコンセプト提案の資料を作成。キャッチコピーとコンセプト文といったテキストだけでなく、イメージ画像やグラフィックなどを用いたイメージボードも添えて、空気感も一緒に伝えるようにしています。
それ以外に「材料」を一緒に提案することも。たとえば、映像コンテンツの場合、実写なのかグラフィックなのかでユーザーに受け取ってもらえるものが違います。映像をつくってこなかった企業に対しては、「没入感を持って自分ごと化できるのは実写で、アニメーションなら想像を掻き立てるような表現が可能です」など、仕上がりのイメージを材料で用意して、CINRAからの最適な案をつくります。
提出後は、クライアントからフィードバックをいただくようにしています。そのときに、担当者から感覚的な表現がどうしても生まれてしまうこともありますが、そこは会話やディスカッションをしながら目線を揃えていくようにしています。大事なのは、言葉通りを受け止めるのではなく、その奥にある考えに思いを馳せること。本当に伝えたいこと、イメージしていることは何かを考え抜き、資料の調整を繰り返してコンセプトを完成させていきます。
クリエイティブ制作においての「企画」の定義はさまざまで、LXチームの場合もどこからを企画と呼ぶかは案件によって少しずつ違います。
今回は、コンセプトとアウトプットが決まったところから、「どんな内容や切り口で、誰をキャスティングするか」という部分を「企画」として、CINRAが「企画づくり」で心がけていることを紹介します。
企画づくりでは、いわゆる「バズる」を考えることも大事ですが、コンセプトからズレていないか、自社らしさを発揮できているか、ゴールに対して最適解になっているかというのを忘れずに企画化することも大切です。
1)キャスティングは「テーマとのマッチング度」を重視
イベントや映像では、著名人をキャスティングする機会が多くあります。CINRAの場合、「知名度があるから」という理由だけでゲストの候補を出すことはありません。大事なのは企画テーマとのマッチング度。トークイベントや音声コンテンツなどでは、コンセプトとゲストの親和性がどれだけあるか、どんなことをお話しできるかという質問案まで企画段階で考えることがあります。
もちろん知名度が高ければ話題を集められるので、アサイン候補になることはありますが、コンセプトとの繋がりがなければ、そのゲストとコンテンツに「必然性」が生まれず、案件の本質を捉えることができません。
過去に、HILLS LIFE DAILY×森美術館『六本木クロッシング2022展』×CINRA のPodcastコンテンツで、新しい学校のリーダーズSUZUKAさんとDr.ハインリッヒのお二人が出演。新しい学校のリーダーズはTikTokで注目を集めていたという理由もありますが、SUZUKAさんがアートに興味を持っていると、社内会議で話題に出たことをきっかけに依頼が決まりました。
アート作品にお笑い芸人やアーティストの視点を交えた企画を展開することで、現代アートに詳しくない方や、森美術館を訪れたことのない方にも興味を持ってもらえる機会をつくりました。

森美術館の展覧会『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』と連動したPodcast番組を企画・制作
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2)いままでにない「掛け合わせ」を見つける
どんな切り口や見せ方にするか、誰をキャスティングするかといった企画を考えるなかで、「そのコンテンツだけのオリジナル要素」を意識することは企画づくりの基本です。まだ言語化ができていない、カタチにできていないものを見つけることで、キャッチーさ、驚き、発見などが生まれます。
そのオリジナル要素を考えるうえでCINRAが大事していることは「掛け合わせ」です。じつは共通点があるのに、いまはまだ離れているもの同士の掛け合わせをつくり出せば、コンテンツを通して新しい視点や価値を提供することができます。
たとえば、駅型商業施設のルクア大阪の5周年イベント。「商業施設」と「スナック」を掛け合わせたコンセプトをもとに、クライアント担当者の方々と企画を組み立てていきました。プロジェクトを通して「お客さまやテナントと、友達関係を築いていきたい」というオーダーに対して、一見すると離れているけど、じつは「お客様と友達のような近しい関係性」という共通点のあるスナックを表現するべく、CINRAのアートディレクションやコンテンツディレクションのもと、企画を提案しました(ルクア大阪×CINRA担当者の対談インタビューより)。
また箱根にあるポーラ美術館の展覧会による音声コンテンツのプロモーションでは、芸人・チョコレートプラネットの長田さん、松尾さんを起用。コントでもユニークな小道具を創作する長田さんと、箱根町出身で「はこね親善大使」を務めている松尾さんの共通点から企画を深めていきました。
CINRAメンバーの多くは、カルチャーを中心にしながらも、興味関心のあるジャンルがとても幅広いです。そして「あのアーティスト、じつはジェンダー問題に関心があるみたい」など、その人の意外な一面やパーソナルな部分を知っていることが多々あり、そのようなアイデアをメンバー同士で出し合いながら、ほかにない掛け合わせでユニークな企画を考えています。

「ルクア大阪の5周年祭」を全面プロデュース
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ポーラ美術館開館20周年記念展『ピカソ 青の時代を超えて』とコラボレーションし、スペシャルPodcast番組を共同制作
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3)「最善の選択はできているか?」をつねに考える
企業担当者へCINRAに制作を依頼した理由を聞くと、「制作実績を見て、コンテンツの質が高いと思ったから」と答えてくださる方が多くいることがわかりました。その期待に応えるために、制作途中でも「自分たち(CINRA)にとって最善の選択はできているか?」をつねに立ち返るようにしています。
多くの制作現場では、スケジュール通りに動かしたいがために、違和感があっても無理矢理に進めてしまうといった場面が少なくはないはず。でもCINRAでは、掲げたコンセプトや目的に向かうために、ほかに見落としていることはないかを振り返り、クライアントに対して自ら追加提案をすることもしばしば。「もっとこうしたほうがいいのでは」と話し合いの場を積極的に設けることもあります。
それによって、プロジェクトのなかに一歩踏み込んだ視点が加わり、クリエイティブの質が高まったという実績があります。クライアントの方からは、
「プロジェクトの方向性に迷っていたが、CINRAさんのおかげで目指したいカタチがイメージできたし、企画を通してそれを実現することができました」
「(代理店の方から)このクライアントさんは普段とてもクオリティーに厳しいのですが、今回は大変満足されていて、これは本当に珍しいです!」
などの声をありがたいことにいただくことができました。
最後に、LXチームが制作した案件の一部を紹介します。
「話をすること」から広がる物語。「ルクア大阪」8周年イベントをプロデュース
イベント開催に向けて、全体のコンセプトづくり、ビジュアル制作、イベント企画、空間デザインなどを包括的に手掛けています。
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国際女性デーに合わせて女性の心とからだの健康を考えるオンラインイベント『わたしたちのヘルシー』
数回にわたり運営いたしました本イベント。企画・運営、キャスティング、キービジュアルの制作、会場装飾やギフトのほか、自らの提案でコンセプトムービーも制作。イベントのブランディングに寄与いたしました。
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株式会社ゴールドウインの社内研修プログラム。「体験」として刺激になる工夫を
スポーツウェアメーカーの株式会社ゴールドウインが社内研修プログラムとして実施する「School of S²AT(スクールオブサット)」にて、企画・制作・運用を担当。
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『東京クリエイティブサロン2023』の祭典にて、CINRA企画「日常に息づくラグジュアリー」を開催
国内最大級のファッションとデザインの祭典『東京クリエイティブサロン2023』にてCINRAプロデュースのイベントを実施。企画制作だけでなく、コンセプトムービーや会場プロデュースなど総合的に演出。
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曽我部恵一が「空席」に故人を想う。CINRAオリジナル映像「The Empty Chair」(自主企画)
LXチームの映像メンバーによるオリジナルの自主企画。タブー化されつつある「死」をテーマに企画をつくり、サニーデイ・サービスの曽我部恵一さんに出演いただきました。
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LXチームは、アウトプット(WHAT)だけでなく、なぜやるのかという情緒的価値(WHY)に立ち戻り、共感を生み出す企画を提案し、細部にまで体験づくりにこだわりながら総合的なプロデュースを行なうことが得意。ぜひ、一緒に「想いを届ける」プロジェクトづくりができたらと思います。相談やお問い合わせはお気軽にこちらまで。
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to fill the world
with imagination.
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