
人口減少や働き方の多様化により、採用活動の難易度は年々高まっています。前回のコラムでは企業が自社の魅力を直接発信できる採用サイトというオウンドメディアの重要性について説明しました。
ただ情報を掲載するだけでは求職者の心には届きません。CINRA, Inc.(以下、CINRA)では、これまで数多くのオウンドメディア制作を通じて培ってきた「編集」の視点を活かし、企業の魅力と求職者のニーズをつなぐ採用サイトづくりについて今回深めていきます。
執筆:井手聡太(CINRA, Inc.)
まず、採用サイトで作成すべきコンテンツを整理しましょう。シンプルに考えた時に基本となるのは以下の要素です。
会社説明 > どんな会社なのか
職務内容 > 何をやっているのか
社員紹介 > どんな人がいるのか/どんなことをやっているのか
キャリアパス > どんな成長ができるのか
福利厚生 > 安心して働けるか
これらを表現する方法としては、テキスト、写真、動画、採用ピッチ資料など多様な手法があります。また、テキストだけではなく、動画も効果的な時代になっています。これらの手法を伝えたい内容に応じて使い分け、組み合わせることになります。

では次に、採用サイトを制作するうえで意識したい3つのポイントを挙げていきます。
1. 更新性:情報はいまの会社を表しているか
組織は日々変化します。事業部の編成変更、制度の見直しなど、年度毎に大きく変わる企業も少なくありません。求職者の質問に対し「あれは昨年までの体制で今年から少し変わった」など答えた経験はありませんか? 採用サイトの情報が古いままでは、求職者に正確な姿を伝えられないことになるので、定期的なメンテナンスを前提とした設計が大切です。
2. 回遊性:ほかの自社保有メディアと連携できているか
採用サイト単体ですべての情報を伝えきるのは、なかなか難しいものがあります。中期経営計画の具体的な数字などは採用サイトではなくコーポレートサイトに掲載される情報ですし、自社メディアの役割分担を考え、求職者が自然に情報を補完できる導線設計を作ることが大切です。
加えて、新卒採用で、1年目は総合職として働き2年目から各職種へ振り分けられる企業は、事前に各職種への理解を促す必要があるため、ひとつのサイト内での回遊性も大切な要素となります。。また、オウンドメディアならではの強みを活かし、複数の接点で企業理解を深めてもらうことでシナジーが生まれてくるでしょう。
3. 編集:誰に、何を、どう伝えるか
ここが最も重要なポイントです。CINRAが得意とする「編集」の視点で考えてみましょう。
採用サイトの編集では、企業が発信したい情報をそのまま伝えるのではなく、求職者のニーズを考え理解することが重要です。参考になるのが、『マズローの五大欲求(※)』の考え方です。
※アブラハム・マズローが1954年に提唱した人間の欲求をピラミッド型の5段階に分類した心理学理論
そのピラミッドを参考に、5つ欲求を採用の話に置き換えてみましょう。
生理的欲求 → 例えば「ちゃんと給料をもらって生活したい」
安全欲求 → 例えば「ハードすぎる環境を変えたい」
社会的欲求 → 例えば「チームで仕事がしたい」
尊敬欲求 → 例えば「ちゃんと評価されたい」
成長欲求 → 例えば「どんどんキャリアアップさせたい」

どれも採用担当者なら求職者から聞いたことがある話だと思います。求職者に伝えたいことをアウトプットする際に、少し立ち止まって採用サイトのコンテンツが特定のニーズに偏っていないかをチェックしてみましょう。たとえば、安心・安全ばかりを強調して成長の道筋が語られていない、あるいはその逆になっていないか。様々な価値観を持つ求職者が訪れるスクランブル交差点のような場所だからこそ、バランスの取れた情報設計が求められます。
編集におけるもう一つの重要な要素が「採用コンセプト」の設定です。これは、会社が求める人材像と求職者のニーズをリンクさせるものです。
事例:リクルートホールディングスの採用サイト(2026年度新卒向け)
https://www.recruit.co.jp/employment/students/
※参考:アーカイブサイト
印象的なキャッチコピー「Follow your heart」のコピーとクリエイティブなビジュアルが特徴のリクルートホールディングスの新卒採用サイトは、コンテンツ面においても会社紹介、社内カルチャー、働き方、社員紹介、求人の詳細がバランス良く構成されています。
特徴的なのは、キャリアデザインや成長ステップがコンテンツの随所に盛り込まれている点です。社員紹介でも「どんなステップで成長したか」「どのように職種が広がっていくか」が印象的に描かれています。
このサイトは、基本的な求職者のニーズを網羅的に提供しながらも、成長欲求を刺激する設計になっています。これは「チャレンジを重ね着実にステップアップしていける人材」を求めているというメッセージの表れと受け取ることができます。
採用コンセプトに紐づいて、このような設計を随所に落とし込むことで一貫した採用スタンスがとれ、会社のイメージが印象付けられると考えられます。
採用コンセプトは、会社が打ち出したい方向性と求職者のニーズが交わるポイントを見極めて設定することが大事です。たとえば、社内外問わず柔軟な連携を強みとする企業なら、チームワークを軸に全体を設計することもできます。
このコンセプト設定こそが、採用サイトというオウンドメディアを通じた会社の特徴づけにつながり、各コンテンツもより魅力的に映っていくでしょう。
採用サイトは単なる情報の羅列ではありません。更新性、回遊性、そして編集という3つの視点を持ち、求職者の多様な欲求に応えながら、より自社ならではのデジタル資産にすることができます。
次のコラムでは「採用サイトは「作って終わり」じゃない。成果を出すPDCA設計術」について解説したいと思います。
私たちCINRAは、企業の魅力を引き出し、求職者の心に届くコンテンツ制作を得意としています。採用サイトを単なる情報掲載の場ではなく、企業と人をつなぐ「デジタルリファラル」の仕組みとして機能させる。そんな採用サイト制作の実績をご覧ください。皆様からのご相談をお待ちしています。
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