コラム一覧に戻る

パーパスを浸透させるには?オウンドメディアの上手な活用術

20 October 2022

株式会社博展(以下、博展)が運営する「THINK EXPERIENCE」にてオンラインセミナーを開催しました。テーマは「“ストーリー”で伝えるパーパスブランディングの方法論」です。

社会全体で「企業の存在理由」が求められている昨今。パーパスを策定する企業も増えましたが、事業活動にパーパスを反映させたり、社内外に浸透させたりするまでには至っていないケースも。まさに、企業を中心に「パーパスブランディング」への関心が高まっていると言えます。

パーパスブランディングを推し進めるには、多くの共感を得る「ストーリー」と、社内外とのコミュニケーションが重要だと考えるCINRA, Inc.(以下CINRA)と博展が同テーマで登壇。CINRAはオウンドメディアの制作やインナーブランディングの実績などを通して、ストーリーづくりのヒントをご紹介しました。その内容の一部を振り返りたいと思います。

本セミナーの登壇者は、CINRAのプランナー宮崎慎也と、博展のクリエイティブディレクター南正一郎さんです。

(左)CINRAのプランナー宮崎慎也 (右)博展のクリエイティブディレクター南正一郎さん

そもそもパーパスとミッションの違いとは?注目を集める社会背景についても

近年注目を集めている「パーパス」とは、「その企業がなぜ存在するかの理由(企業の存在意義 / なぜ存在しているのか?)」を示したもの。

似たキーワードとして、ミッション(使命 / どのように実現・実施するのか?)や、ビジョン(目指す方向性 / どんな姿を目指すのか?)などがあります。その二つの大元である「なぜ(WHY)やるのか?」を言語化したのがパーパスです。このように、自分たちの存在価値を明確にする動きが企業を中心に高まっています。

では、なぜパーパスドリブンの動きが活発になったのか。いくつかある理由から、3つの社会背景を挙げました。

理由① 働き方の変化

自分が会社に属するときに、年収、福利厚生などを重視する時代から、企業の社会貢献や、働きがい、やりがいを重視する人が若い世代を中心に増えてきました。採用面接で求職者に会社の存在意義などを問われたときに、すぐに答えられなかったという経験をした人もいるのではないでしょうか。そのときにパーパスの重要性に気づくこともあると言います。

理由②投資評価基準の変化

いままでは短期的な利益や売上高が主流でしたが、ESG投資などの中長期的で持続可能な社会への投資に目を向ける投資家が増加。実際にCINRAが携わったコーポレートサイトのリニューアル制作でも、IR部門にてパーパスを前面に押し出して、投資家に対して社会的に価値があることを示す企業も増えています。

理由③消費者行動の変化

消費者やユーザーといったBtoCコミュニケーションにも変化が。消費者のなかには、物を買うときに商品の機能性・質の価値だけでなく、その企業の取り組みや背景を意識して購入を検討する人も多いそうです。大量消費ではないエシカル消費、コト消費、共感価値などの傾向によって、ユーザーに企業の存在価値を届けるためのコアなパーパスが求められるようになりました。

今年9月にパタゴニアの創業者が、気候変動対策の加速を目指すとして全株式を委託・譲渡するニュースがありました。年間100億円を超える配当金は、環境団体の資金源となります。「私たちは『株式公開に進む(Going public)』のではなく、『目的に進む(Going purpose)』のです」と述べています。※パタゴニアウェブサイト参照

このように、パーパスが多くの人に浸透している企業が世界にはある一方で、日本ではまだまだ課題を抱えている企業も多くあります。CINRAへのパーパスブランディングのお問い合わせのなかでよく挙がる課題が、「パーパスが抽象的で伝わりにくい」「実際の仕事とパーパスがつながりにくい」「従業員が利用しない」など。やはり、パーパスが神棚に飾ったままになりがちだということです。

そのような課題には、企業の「なぜやるのか(WHY)」に対して、従業員、消費者、投資家などあらゆる人々に「共感」を得てもらうコミュニケーションをすることが重要です。

ストーリーテリングによるパーパス浸透の方法

ここからは、パーパスを浸透させるためにはどうしたらいいのか、その具体的な方法について述べていきます。

CINRAがパーパスを浸透させるうえで重要視しているのが、「ストーリーの力」です。これは、多くの人にパーパスへの共感を促すときに大事な要素であり、効果的な手法だと考えています。例えば、「地球を救う」「幸せを届ける」といったパーパスを経営者が掲げた場合、言葉だけを受け取った従業員にとっては、「抽象的でわかりにくい」「具体的にはどういうこと?」という印象になってしまうことも。

そのようなときには、パーパスの言葉の背景にある創業者の想いや、事業や商品の秘話などを汲み取っていき、それをストーリーとして落とし込むことで、パーパスへの理解を早めたり、深い共感をつくれたりすると考えています。

ストーリー(物語)とは、映画や小説にもある通り、主人公がいて起承転結があります。例えば「地球を救う」という言葉のなかにあるストーリーを知ることで、「一緒に地球を救いたい」などの「共感」「感情移入」が生まれやすくなりますし、記憶にも残りやすくなります。

ストーリーテリングをしたあとに、そのパーパスというコアをどのような「かたち」にして届けるかといったアウトプットの部分で「メディア」「SNS」「空間」「イベント」などが存在しています。

ここで博展から、「どのようにストーリーを見つけていくのか?」と質問をいただきました。

CINRAの場合、企業の担当者や社長などと行なうワークショップでの対話や関係性をつくっていくなかで、事業で大切にしていることや、過去の取り組みで企業らしさが出ている事例を聞いていきます。社内にいると当たり前だと思っていたことでも、外の視点によって独自性に気づくことも多いため、「第三者視点」を入れることも一つの方法です。

CINRAはいままでに、企業のオウンドメディアで「ストーリーブランディング」を多く取り入れて発信してきました。今回のセミナーでは、BtoB向けメディアの実例を紹介しました。

三井化学の素材の魅力をストーリーとともに届けるオウンドメディア

自動車、医療、パッケージ、建材、エネルギーなどに使われる素材の開発を行なっている三井化学株式会社(以下、三井化学)。ブランドパーパスの中長期計画ビジョン2030において「未来が変わる。化学が変える」を掲げています。いままでにも、温めると柔らかくなる素材を使い、多種多様な人の身体に合わせた衣服や下着に取り入れるなど、新しい素材や化学の力で社会課題を解決してきました。

三井化学にはオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ(MOLp)」があり、自社サイトにて発信をしておりましたが、そのような事例をより広くユーザーに届けたいという思いのもと、既存サイトをオウンドメディアにすることを決めました。

CINRAはオウンドメディア化によるリニューアル時に携わり、ストーリーブランディングをもとにコンセプト設計や記事の企画・戦略などを実施制作実績の詳細)。

三井化学のオウンドメディア「そざいの魅力ラボ(MOLp)」より

 メディア「そざいの魅力ラボ(MOLp)」では、一般の人には伝わりにくい「素材」「化学」というテーマをわかりやすく楽しく表現してコンテンツ化。例えば、視界のコントラストをより鮮やかにしてくれる眼鏡レンズ素材を使用した製品は、現地でのスポーツ観戦時におすすめということから、野球観戦が好きなタレント・古坂大魔王さんに眼鏡を取り入れてもらう記事をつくりました。その後、同メディアの活動はオンラインストアやイベントなどにも発展していくこととなります。

「自分たちの価値」を再発見することが、パーパスブランディングの第一歩

パーパスブランディングでは言葉の議論になりがちですが、そこで伝えたいことは何か、どんな物語があるのかという具体化を忘れずにいることが重要ではないかと考えています。コンセプチャルな部分に、具体性を紐づけていくことで共感を生みやすく、届きやすくなります。

パーパスブランディングによるデジタルコミュニケーションのポイントをまとめました。

これらは主にメディアに関することですが、コンテンツづくりでは、発信者側の自己満足やエゴにならないためにもパーパスに紐づいたストーリーを構築することを忘れないこと、そして社内外の人が読みたくなるようなクオリティーの高いものを発信することが大事。

また、どんどんアウトプットできることがデジタルの強みの一つ。良い結果だけでなく、試行錯誤な場面なども発信して読者と共有することで、共感を得られることがあります。

セミナーの最後は「パーパスブランディングをどう捉えているか?」をテーマにディスカッションを行ない、CINRA宮崎は以下のメッセージを視聴者に送りました。

「抽象的になりがちなパーパスをいかにリアルと繋げられるかがキモ。まずは自分たちが持っている価値を再発見することがパーパスブランディングのスタート地点です。そこからストーリーや事業などで具体化していくことで、『自分ごと化』に近づけられるはず。

CINRAがお手伝いしているのは、外の目線から企業の魅力を再発見して、ストーリーに落とし込むこと。そしてアウトプットしたデジタルコンテンツを目にしたユーザーに、その背景にあるパーパスをどれだけ感じ取ってもらえるかを大切にしています。『何をどうしたらいいかわからない』ところからご一緒して、ストーリーをともに見つけていけたらと思います」 

パーパスブランディングについてより詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。  

●株式会社博展
「ココロ揺さぶる瞬間(とき)を創り、世の中を次に動かす」をビジョンに、さまざまな新しい体験価値を世の中に届けています。また、「THINK EXPERIENCE」はオンラインセミナーやブログなどのコンテンツを通して、博展の事業領域である「体験デザイン」を発信するオウンドメディアとして運用中。随時開催しているセミナーでは、デジタルコミュニケーションだけでなく、リアルな場の体験設計など幅広いテーマで実施中。最新の情報はこちらから。
これからの“体験”を考えるWebマガジンTHINK EXPERIENCE

Link

Inspire people to fill the world
with imagination.

Inspire people
to fill the world
with imagination.

人に変化を、世界に想像力を。

CINRAについて