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CINRAメンバーが登壇。パナソニックのオウンドメディア「Make New Magazine」について語るセミナーが開催

7 February 2025

一般社団法人 企業研究会の「Webマネジメントフォーラム 11月例会」で、CINRA, Inc.(以下、CINRA)の高野由理と服部桃子がパナソニック株式会社(以下、パナソニック)の姜花瑛さんと共に登壇しました。

姜さんは2022年に設立された社長直属の戦略本部 CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)チームに所属し、パナソニックのオウンドメディア「Make New Magazine」を担当されています。

CINRAは同メディアの編集・運用を担当しており、今回の登壇では「Make New Magazine」の運営や、読者に響く企画提案についてお話しさせていただきました。

今回は会の様子をお届けします。

執筆・撮影:廣田一馬(CINRA, Inc.)

※「Make New Magazine」は2025年12月17日に運用を停止し、サイトをクローズいたしました

パナソニックってなんの会社? 「Make New Magazine」創刊のきっかけ

姜花瑛(以下、姜):「Make New Magazine」をはじめた背景には、パナソニックのブランド力が低下している状況がありました。特に若年層に対して、「パナソニックってなんの会社?」と聞いたときにイメージを持っていただけていないという課題感がありました。

そこで、未来に向けたくらしや価値、思想を自分たちの口で丁寧に発信できる場所として「Make New Magazine」を立ち上げました。ターゲットは18歳から34歳までの若年層、つまり未来のステークホルダーで、パナソニックがどんなことをやっているかを知り、理解していただき、パナソニックの将来に期待感をもってもらうことを目標にしています。

「Make New」は、パナソニック株式会社の変革の意志を未来につなぐアクションワードなのですが、「Make New Magazine」は、その姿勢を対外に示す象徴としての役割もあります。

姜:「Make New Magazine」の編集には、CINRAさんとDEさんの2社に入っていただいています。パナソニックは人、くらし、社会への視点や製造業としての視点をもっているという自負がある一方、CINRAさんは音楽、アート、デザイン、ファッションなどのカルチャーへの理解や、若年層向けのメディアを運営してきた視点をもっていると考えています。

CINRAさんの視点を通すことによって、私達にとってはあたり前で面白いと思わないようなことから「これって結構面白いですよ」という部分を見つけてくれるんです。自分たちが1つしかないと思っていたアイデアも、角度を変えて見ると10個にも、20個にもなるという気付きを得ることができました。

オウンドメディアでは広報では難しい「未完成さの発信」を担う

姜:「Make New Magazine」の編集方針は大きく3つです。

1つ目は「社会課題との接続」で、今から未来に生きる社会をどう捉えてどう解決しようというところ。社会課題というとSDGsのような大きな課題をイメージしがちですが、いま困っている人がいるような問題を社会課題と捉えています。

2つ目は「Make New」で、未来や新しさであったり、くらしのあたり前をパナソニックの商品、ソリューション、活動がどう変えているかを大切にしています。

3つ目は「誠実さと未完成さ」です。企業のサイトでは綺麗でカッコ良い成功ストーリーが並んでいるイメージがあります。しかし、いまの若年層はそのようなコンテンツに対して「つくられているな」「ステマだな」と感じてしまうため、良い成果だけではなく、失敗や挑戦のプロセスを正直に見せるようにしています。

「入口としては失敗してもこういう道がある」とか「がむしゃらにやった結果、どんなアウトプットが出たか」を正直に見せることがすごく大事で、実際、綺麗に整えた記事よりも一人の社員が奮闘したストーリーのほうが数字が良いこともあります。

この「未完成さの発信」は、オウンドメディア以外からの発信で担うのが難しい部分でもあります。編集の仕方によっては、生活者の方に誤解を与えてしまうこともあります。オウンドメディアでは細かい部分まで表現の調整ができるのでまだ全てを社外に出すことはできないような取り組みでも、取材し発信していくことも可能です。

「自分の仕事の価値」に気づいてもらい、社内を変える

姜:記事の企画を立てる際には、まず自社の事業の理解が重要です。技術についてはなかなか理解するのが難しく、その技術の何がMake Newなのか、時間をかけてヒアリングを何度も行なっています。

また、社内では、面白いものをつくっているのに、自分たちではその面白さに気づいていない場合もあります。取材を通して、テーマのMake Newを深掘りすることで、「記事を読んで自分の仕事にどのような価値があったのか気づきました」と取材した方から言ってもらえることもあり、Make Newを考えることは社員の意識や、価値の捉え方を変えるという意味でも重要だと考えています。

姜:KPIをどう設定しているかは他社さんにも聞かれることが多いですが、数字で見える部分に加えて、見えない部分もちゃんと伝えられているかという2つの視点から考えています。

数字で見えるKPIはPV、読了率、若年層率の3つを設定しています。しかし、この3つを追い求めるだけでは、ゴールとして設定している「パナソニックは未来のくらしをつくる会社」というブランドパーセプションには届きません。

ブランドイメージを伝える発信ができているかや未来を創る事業の後押しができているか、メディアとして新しい伝え方をできているかなど、数字で追えない部分もKPIとして非常に重要だと考えています。

また、パナソニックでは、社長が社外の若年層に向けて、直接パナソニックの未来について語る場があまりなく、「Make New Magazine」では、社長の人生や想い、未来のパナソニックをどうしたいのかなど、社長のリアルな言葉を発信しています。

「パナソニック・品田正弘が前田陽汰氏に聞く。「終わり」と向き合い、「無常」を生きるとは」という記事では、株式会社むじょうの代表取締役である前田陽汰さんと、地方や事業、命の終わりなどについて対談しました。このような記事では社長の人となりが出てくるので、ブランドに対するイメージも変わるほか、就活生にも「こういう人がパナソニックのトップなんだ」と伝えることができたと思っています。

CINRAが編集することで生まれる「第三者視点」

高野由理(以下、高野):CINRAではパナソニックさんをはじめ色々な企業さんと一緒にオウンドメディアを制作させていただいていますが、CINRAに任せていただけている理由をひと言で表現するなら「第三者視点」だと思っています。

高野:企業の皆さんは世の中にまだ知られていない日本一、世界一の技術をたくさんお持ちです。しかし、どんなにすごい技術であっても、若年層にアプローチしたり、ステークホルダーに理解してもらったりするにはまず読んでもらう必要があります。

なので、CINRAで記事を制作する際には読者を意識して「それって面白い?」「どう伝えれば受け入れてもらえる?」という部分に気をつけてご提案させていただいています。

具体的な記事として「地球環境の未来が心配な編集者が率直に聞く。「パナソニックのICP制度ってなんですか?」をご紹介します。

高野:この記事はICP制度というカーボンプライシング(編注:炭素税をはじめとする、企業などの排出するCO2に価格をつける政策手法です)の制度についての記事となっています。カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーについての話題は見ただけで敬遠してしまうかたも多いと思いますが、ゲストに「昔の地球ってこんなに暑かったんですか?」という問いかけをしていただき、そこからパナソニックさんにICP制度の運用についてお話しいただきました。

服部桃子(以下、服部):当初お話をいただいた際、私自身ICP制度について理解が難しいと感じました。記事の最初に制度の説明をしても読者が離脱してしまうと思い、私と同じぐらい目線を低くして、そこから紐解いてくれるような記事であれば読んでいただけるかもしれないと考えました。

服部:ゲストとしては、CINRAのポッドキャスト番組でもパーソナリティを務められている南麻理江さんをアサインしました。南さんはかなり低い視点からもお話を展開してくれる聞き上手な方なんですよね。「地球ってなんで暑くなってるんだっけ」という誰でも共感できる話題から入って、ICP制度が自分たちのくらしをどう変えてくれるのか解説する流れにすることで、難しい話でも読んでいただきやすい構成を提案をさせていただきました。

高野:ターゲットである若年層に届けるため、テーマをいただいたあとの企画作成やキャスティングなども、CINRAの視点とつながりを駆使して行なっています。

トンネルの天井についているジェットファンなど、意外な場所にあるパナソニック製品を紹介する「#こんなところにパナソニック」というコンテンツは、若年層にも面白がってもらえる切り口を意識してつくりました。

服部:そもそもジェットファンをパナソニックさんがつくっていること自体が面白かったので、より読ませる記事にするため、読者の興味を引く文章を書くのが得意なライターさんを起用しました。読みやすい文章だけど、ちょっと癖があって読んでしまうような記事に仕上がっていて、パナソニックさんの隠れた面白さを引き出せていると思います。

高野:隠れた魅力という意味では、パナソニックさんにとっては当たり前だけど、外部の人にとってはすごく面白い技術も編集会議のなかで頻繁に出てきますよね。

服部:そうですね。こちらは天井にくっつけるとコードに繋がなくてもスマホなどが充電できる無線給電という技術を研究している方のインタビュー記事です。

服部:企画は逆の物事をくっつけると面白くなると言いますが、これまさにその例だと思います。パナソニックさんとのヒアリングで「大阪のおっちゃん」というワードが出てきてこのかたちになりました。ノリの良いかただったので面白いポーズも取っていただいて、タイトルや写真も含めて成功したインタビューだと思っています。

「大阪のおっちゃん」こと、無線給電をテーマに事業企画を立案された黒田淳さん

姜:パナソニックって大阪のおっちゃんだらけなので、最初は全然面白いと思ってなかったんです。イケイケの技術者がシリコンバレーでスタートアップと共創、というような感じだったらイメージができたんですが……どうMake Newにしようかと迷っていたところでCINRAさんが「1人でシリコンバレーに乗り込んだ英語が喋れないおじさんって、すごく面白いです」と言ってくださったんです。それがきっかけで「こういう見せ方をしたらパナソニックも若年層に興味を持ってもらえるのかもしれない」と気付かされました。

オウンドメディアを長く続けるために必要な「続ける意志」

姜:「Make New Magazine」はまだ始まって2年なので、これからどう長く続けるか改めて考えています。いま考えているのは、やはり広告に頼るのではなく、発信コンテンツを強くすることや、強い事業、面白い人、ソリューションの力など、社内の力を活用して多くの人を巻き込むことが大切だと思います。

KPIについても、数字で見えない部分は大切にしていますが、費用対効果については多くの企業で求められていて、経営が落ち込んできたら真っ先に「これって必要?」と言われてしまいます。KPIの数字はしっかりと上げて、ちゃんと成果を出して経営者の理解を得ることは継続してやらないといけないと思っています。

そして、担当しているチームのメンバーが続ける意志を持たないと、メディアは続かないと思っています。組織改編などでメディアがなくなることはあるあるだと思いますが、せっかく積み重ねてきたものを形を変えてでも続けるとかは、担当者の方の動き方に左右されると思うので、残す意志を持つことはすごく大事だと思います。

服部:担当の方がどれほど情熱を燃やせるかでメディアの寿命は決まってくると思います。過去には担当者が変わった際に前任の方と熱量に違いがあり、その影響もあってかメディア継続が難しくなった案件もありました。結局は、メディアを続けるという意志が大切だと思っています。

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制作事例紹介「Make New Magazine」

Inspire people to fill the world
with imagination.

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