増え続けるインバウンド・観光・グローバルサイト需要。CINRAアートディレクターは外国人に「日本」をどう伝える? 

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こんにちは! 本年度からCINRAに入社した、エディターの菅間です。

2020年の東京オリンピック開催が決定して以来、インバウンド需要や企業やサービスのグローバル化に伴う海外の人向けのサイトが増えてきた印象です。そんな背景をふまえ、CINRAのクリエイティブチームもグローバル対応のサイト制作などの実績が増えてきています。

これから紹介する、早稲田大学による海外へのPRを目的としたサイト『WHY WASEDA?』、株式会社エフエム東京による海外向けチャンネルサイト『TOKYO FM WORLD』 は、CINRAが手がけたインバウンド・グローバル向けウェブサイト。「言葉や文化の違う人たち」に発信するために、デザイン上でもさまざまな工夫がこらされています。

今回は、『WHY WASEDA?』、と『TOKYO FM WORLD』 のデザイン制作を手がけたアートディレクターの井手岡田に、グローバル需要に応えられるサイトを制作するときにどのような点を工夫しているのかを聞いてみました!

「海外の人に向けて、きちんと情報発信していきたい」というニーズが高まっている

——「インバウンド」という言葉をよく聞くようになってきましたよね。具体的に、どんな方からお話をいただくことが多いのでしょうか? 

井手:美術館・博物館などの文化施設の方から、「訪日外国人に対してきちんと情報を発信していきたい」という目的でお話をいただくことは非常に多いですね。たとえばCINRAでは『江戸東京博物館』のサイト制作を行う際に、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語対応もさせていただきました。

——江戸東京博物館は海外の方にも人気のスポットなので、多言語展開の需要は高そうですね。

井手:そうした文化施設だけでなく、大学も海外の学生に目を向け始めています。早稲田大学がアジアのリーディングユニバーシティとして世界へ情報発信していきたいという課題を持つ中で、CINRAでは『WHY WASEDA?』という13か国語で日本・東京の魅力を発信するスペシャルサイトを制作しました。このように、観光に関わる行政や自治体だけでなく、多くの企業や団体が海外に向けた情報発信に力を入れています。CINRAが運営するバイリンガルシティガイド『HereNow』も、国内外に対する情報発信の需要が高まっているという背景をふまえて立ち上げたメディアです。

現地のクリエイターや編集者がおすすめのスポットをキュレーションするアジアのバイリンガルシティガイド『HereNow』
現地のクリエイターや編集者がおすすめのスポットをキュレーションするアジアのバイリンガルシティガイド『HereNow』

井手:先ほど話に挙がった『WHY WASEDA?』を例にしてみると、このサイトの具体的なターゲットは「これから日本の大学に留学しようと考えている10代前半の学生とその保護者」。子どもと親、世界共通で直感的に理解できる表現を考えたとき、手法として「写真」ではなく「絵」を選択したんです。そこで、サイトをスクロールしていくとどんどん広がっていく、仕掛け絵本のようなしくみを採用しました。インフォグラフィックやイラストをふんだんに使うことで、東京と早稲田大学の現状が文章を読まなくても視覚的に伝わるようなデザインになっています。

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『WHY WASEDA?』では、スクロールしていくと、次々と東京を現すモチーフやピクトグラムが現れる
『WHY WASEDA?』では、スクロールしていくと、次々と東京を現すモチーフやピクトグラムが現れる

——一方、ラジオでおなじみのエフエム東京の海外向けチャンネル『TOKYO FM WORLD』のブランドロゴとウェブサイトの制作を担当されたとのことですが、デザインする上でどのような点を意識しましたか?

岡田:『TOKYO FM WORLD』は、東京から海外に向けて発信するラジオアプリのサービスサイトなので、「東京」という街をしっかり意識しながら世界観を作っていくように工夫しました。東京の街を表すモチーフを探っていく上でいろいろな案が出ましたが、「東京タワー」がイメージされるアンテナのモチーフを取り入れることで、一目見ただけで「東京」や「ラジオサービス」であることがわかるようなロゴデザインにしています。

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『TOKYO FM WORLD』のロゴデザインと、スマホでのサイトイメージ。東京を表すモチーフがロゴに落とし込まれている
『TOKYO FM WORLD』のロゴデザインと、スマホでのサイトイメージ。東京を表すモチーフがロゴに落とし込まれている

海外の人にとっての「東京」を考える

——海外の人に向けたサイトのデザインを考えるときに、どんなものを参考にしているのでしょうか?

井手:案件に取り組む前に、国が出している旅行者の調査資料などのデータを確認するようにしているのですが、見ていると意外な発見があるんですよ。たとえば東京に住んでいる者からすると、「東京の新名所だし、シンボルはスカイツリーをモチーフにしてみよう」と思うこともありますよね。でも、資料によると、海外からの旅行者にとって東京のシンボルは「東京タワー」の印象がとても強いようなんです。

僕らはアートディレクターとして物事を伝える立場にいるので、「伝える先の相手の常識」を捉えておくことが必要だと思います。これは海外の人に限らず、「日本に住む10代」を伝える相手に選んだときも同じです。どんなものが年下の彼らの間で流行っているかを押さえて、その常識に沿いつつテーマを伝えることが必要だと思っています。

——どんなことでもそうですが、自分たちが考えた仮説が、必ずしも事実と一致しているとは限りませんもんね……。グローバル向けだからこそデザイン上で苦労している点や、気をつけていることはありますか?

岡田:代表的なことだと「文字」に配慮するようにしています。多言語対応のサイトでは、縦書きにしたほうがいい言語もありますし、横書きの場合も左からを基本にするか右からを基本にするかで、まったく異なるデザインになります。なじみのない言語をサイトに使うときは文字数や、文字の切り方などは工夫していますね。

——たとえば、アラビア語などは右から書く文化ですもんね。

岡田:あとは、私たちの常識の範囲内で肌を露出している女性の写真でも、宗教などの関係で過激だと捉えられる文化を持つ国などもあるので、気をつけるようにしています。

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井手:社会情勢や宗教などの多様性から、使えなかったモチーフもありますね。ほかにも、「新興国でインターネット回線が遅い」という問題もグローバル対応する上での課題です。3G回線を使っている国の人をターゲットにしたサイトを制作する場合には、リッチな表現とサイトの読み込み速度の両立を考えてデザインすることはよくあります。

海外メディアとの連携で、グローバル需要に向けたコンテンツをより多くの人に発信できる

——これからますます多様化していく訪日外国人のニーズに向けて、どんな仕掛けを作っていきたいですか?

岡田:僕は、世界中の人が共通して使っているスマートフォンアプリを手がけてみたいです。世界中みんなが使っているサービスがすでにあるので、それに追いつけるようなプラットフォームを作ることができたらと思います。

井手:より多くのターゲットに届けるために、海外メディアと連携したプロモーションなども今後強化していきたいですね。いま日本の中にあるグローバル向けのコンテンツは、まだまだ国内で完結している印象があるので、まるで「家の中に家を作る」ことと同じで、外に向けて発信しきれていない気がします。でも、本当に外に発信するために海外のターゲット属性にあわせたメディアと連携できたら、相当強い導線が生まれるんじゃないでしょうか。簡単なものだと海外の雑誌に出稿するのも一つの手段ですし、CINRAとしては『HereNow』で現地のキュレーターさんと繋がって協力関係にあるのも、ターゲットに届けるための強みになるんじゃないかと思いますね。

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——個人として「これからこんなことをしたい」といった願望があれば教えてください。

岡田:クライアントのブランディングに関わる仕事をしている以上、僕が作ったもので、そのクライアントの企業文化を作れるぐらいになりたいです。提案したデザインが企業の顔になって、それが誰にでも一目でわかるぐらいにまで広がれば嬉しいです!

井手:CINRAはクリエイターネットワークを持っているので、クリエイターと企業との繋がりを深めることも考えてみたいです。私たちが繋げることで、企業の方に新しい視点を持っていただけたらいいですね。

——ありがとうございました!

ここで登場したサイトなども紹介しているCINRAの制作実績はこちら

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