AI、UI、チームビルディング……。映画を愛するCINRAエンジニアによる映画雑談

こんにちは!広報の星です。

皆さんは、自分が働いている職業の視点で映画を見てみたことってありますか?
例えば、アパレル関係の職業に就いている方だったら、あの映画のあの着こなしは最高とか、ライターや編集者のように「ことば」を扱う方であれば、あの映画のあの言い回しがたまらない、というように……。

今回は、映画を愛するテクニカルディレクターの濱田と二階の2人に、「エンジニア視点」という縛りを設けて、映画について語ってもらいました。映画好きによる映画談義に終わるかと思いきや、最終的にはエンジニアにとってのモノづくりとは何かという深い〜話しに。お楽しみください!

※本記事は、紹介する映画作品のネタバレにつながる内容を含みますので、ご了承ください。

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OSに恋してしまう時代も近い?

OS
引用元:https://filmarks.com/detail/24598https://filmarks.com/detail/60187https://filmarks.com/detail/55484

二階靖代(以下、二階):濱田さんは、映画を見ていてエンジニアだからこそテンションが上がるみたいなことってありますか?

濱田智(以下、濱田):UIとかは結構見てしまいますね。例えば『アイアンマン』とか『チャッピー』は分かりやすい。現実空間にウィンドウが開いたり、それを実際に手で操作する『アイアンマン』のインターフェイスって、凄さが伝わりやすい。執事のジャービスっていうロボットとの音声でのやりとりも、Siriの発展形みたいな感じで現実と地続きだなーとか思ったりします。

二階:私は、映画を見てこのUIが凄いとか、そういう観点は今まで持ったことなかったです。

濱田:でもチャッピーは感動しなかった? AI(人工知能)を搭載したロボットのチャッピーが初めて目を開く時、視界に入ったオブジェクトの情報がポップアップで次々に表示されるところとかさ。

二階:「この顔を認識しますか?」みたいな感じでしたっけ?

濱田:そうそう、チャッピー視点だからどんどん学習していってインフォメーションが豊かになっていく様子が分かる。あれはエンジニアであれば、より作りこみの凄さを実感できるんじゃないかな。

二階:たしかにそうかもしれないですね。でもわたしは、この映画にあったような、人間の知能や思い出をその人が亡くなったあとも機械に残していくみたいなことに対しては懐疑的ですね〜。

濱田:そう? 僕は超ロマンを感じるけどなー。あと、『her』は OSの起動画面が洗練されているのが印象的だし、途中で出てくる架空のゲームのインターフェースも、面白いですよね。調べてみたんですけど、あれは、デヴィッド・オライリーっていう3Dアニメーション作家が作っていて、彼自身も『Please Say Something』っていう短編作品でベルリン映画祭の金熊賞を受賞したりしている映画監督みたいですよ。

ストーリーに目を向けても、女の人に捨てられるとかショッキングな出来事があったとき、もしすぐそばに自分の感情を高度に汲んでくれるOSがあったとしたら、主人公のように恋をしてしまうという可能性がないとは限らないなと思う。

二階:OSと自分はヘッドセット越しに一対一のやりとりをしているから、主人公のセオドアにとっては自分だけの体験なんだけど、実は全世界の人が体験していて恋もしていた。あれは切なかったですね。あの終わり方があまり好きじゃないっていう人もいると思うけど、私はあれがもうすぐほんとに来る未来なのかも、とはっとさせられました。

濱田:「主人公が孤独とどう向き合うか」という話かと思ったら、「世界の人が孤独とどう向き合うか」っていう話に飛躍していく凄さがあるよね。しかもその脇で、面白いUIやガジェットが出てくるわくわく感が用意されていて、それがうまく組合わさることで、映画としての体験がより豊かになっていくところがいいなって思う。

イミテーションゲームはチームビルディングの話

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引用元:https://filmarks.com/detail/53954https://filmarks.com/detail/57847

濱田:『きっと、うまくいく』みたいに、ある種の天才がエンジニアリングで身の回りの難題を解決していくみたいな話ってあるじゃないですか。『美味しんぼ』のエンジニア版というか、いわゆる「天才が1人いて、すげ〜!」っていう映画。その逆が『イミテーションゲーム』なんじゃないかなと思っていて。アラン・チューリングは天才だけど、彼の直面していた問題は一人では解決できなかったよ、っていう話じゃないですか。そういう意味では、『イミテーションゲーム』はチームビルディングの話だな〜と思っていて。アラン・チューリングみたいに、チームにとって重要だけど、一方で協調性がないような人物に対して、キーラ・ナイトレイが演じるジョーン・クラークのようなチームの和をきちんと調整してくれる役回りの人って、チームで何かをするときには凄く重要だなと実感しましたね。

二階:たしかにあのキーラ・ナイトレイはすごく魅力的でしたね。チームの和のために欠かせない人物でした。

濱田:「チーム内にこういう人がいるとどうなる…?」っていう目線で観るのも結構面白いね。僕だったら今のCINRAのエンジニアチームで置き換えてみたりする。

二階:私は『イミテーションゲーム』を見て、今は、コンピュータが一瞬で計算してくれるけど、元々プログラミングや暗号解読って、細かい計算を積み重ねて、条件分岐をひたすら繰り返すところから始まったんだな〜っていうことを凄く感じました。

濱田:そういった「細かくて面倒くさいこと」を避けるために、いかに工夫するかっていうのがエンジニアの本質の一部だと思うんですよね。その結果、一時的により面倒くさい作業をしなきゃいけなかったとしても。例えば年賀状を100枚出すとして、手作業で宛名を書くとなると一枚あたり20秒くらいかかりますよね。それを「20秒しかかからないから書いてしまおう」ではなくて、プリントアウトしましょうとか、自動化するためにマクロを書きましょう…みたいな省力化をしていくということ。

この映画では、チームのみんなが必死に地道な計算をして暗号を解こうとする中、チューリングがそのときはなんの役に立つのかも分からないマシン(のちにイギリス軍を戦争の勝利に導くクリストファーという機械)を作っているんですよね。そのとき、しっかり者のメンバーが「無駄な作業ばっかりしてないで、俺たちの仕事(地道な計算)手伝えよ」みたいなことを言うんだけど「これを作ったら面倒くさいこと全部すっ飛ばせるから」とチューリングは断固として突っぱねる。ただ無骨に努力しろということじゃなくて、そこをどれだけ飛び越えて考えられるかっていうこのチューリングの考え方こそが「エンジニアの美学」だと思う。

映画が現実を作り、現実が映画を作る

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引用元:https://filmarks.com/detail/58698

濱田:僕ね、ダントツで好きな映画カテゴリっていうのがあって、それが「モノづくり映画」。「まあゴチャゴチャ言わずにモノ作ろうや」ってやっちゃう『はじまりのうた』とか凄く好きなんです。映画を観てが〜っとモノづくりのテンションを上げて、仕事やライフワークに活かすっていうのも、映画の効能の一つなのかなと。

映画が現実を作るという話でいうと、Facebookの創始者であるマーク・ザッカーバーグが今年の抱負として「アイアンマンのようなAI込みのインターフェースを作りたい」っていう発言をしていたんですよね。出来るかどうかはともかく、そういう話を聞くと映画発信で現実世界に影響を与えていることも結構あるなと思って。

一方で最近の映画は、ゲームからの影響をものすごく受けているんですよ。全く別のユーザーに向けて作られているものが、映画にインスパイアを与えて取り込まれて……、そうやって映画も現実もブラッシュアップされていると思うんです。それって面白いですよね。エンジニアって0からモノを作れる職業じゃないですか。僕や二階さんは、映画を作っているわけじゃないじゃないですけど、自分たちの仕事が、何らかの形で自分の関わっている世界に影響を与えて、その影響を誰かが受け取ってまた新しいモノを作っていく…。そんな連関の一部に自分がいるということを意識することが、モノを作るうえで大事なことなんじゃないかと思っています。

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