【イベントレポート】CINRA.NET編集長・柏井登壇イベント「WEB編集者全盛期 2016年以降のWEBで起きる光と闇」

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こんにちは、広報の星です。今回は、2016年1月23日(土)デジタルハリウッド大学にて、CINRA.NET編集長の柏井が登壇させていただいた、イベント『Editors’ Lounge』第3回のレポートをお届けします!

当日は、40年ぶりの寒波が列島を襲い、ものすごく寒かったです……。
そんな中、ありがたいことに、たくさんの方にお越しいただきました!

モデレーターをしてくださったのは、台湾と日本のカルチャーをつなぐ台日系カルチャーマガジン『LIP』の編集者・田中佑典さん。「Web編集者全盛期、2016年以降のWebメディアで起きる光と闇」をテーマにお話しさせていただきました。

PV至上主義と言われる昨今のWebメディア、実際はどうなの?

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田中佑典(以下、田中):僕は、紙を主軸にした編集者なので、Webメディアに関しては、普段ユーザー側なんですよね。雑誌を作っているため、もちろん記事は書きますが、Webと紙の違いはさっぱり分からなくて……。今日はWebメディアについての疑問を色々と聞いていけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

柏井万作(以下、柏井):はい、よろしくお願いします。

田中:まずは、今巷でも色々と議論がされている「PV至上主義」についてお聞きしたいと思います。僕は、PVの話はもう辞めようみたいなことを聞くたびに、PVに代わる指標って何かあるのかなと思っているのですが、そのあたり柏井さんはどう感じていますか?

柏井:最近では欧米を中心に、PVに代わる指標として、ユーザーがどれくらい行動をしたのかという「エンゲージメント率」が出てきています。例えば、ユーザー100万人がページを見にくるとしますよね。今は100万人が訪れたということが価値になっていますが、エンゲージメント率で考えると、その100万人のうち一体何人が下までスクロールをして見たのかということや、どれくらいアクティブに滞在しているのかというのを計って、ページやサイトの評価を出すんです。アメリカを中心にそういう流れがだんだんと生まれているので、単純にPVの数だけでこのページは凄いということは言えなくなっていくんだろうと思います。

田中:なるほど。Webメディアって、基本的に広告収入じゃないですか。PV数ってクライアントの方にこれくらいうちのメディアは見られていますということを提示するためにあるのでしょうか?

柏井:そうですね。広告収入でも大きく分けると2つあります。1つは、「純広告」といって直接クライアントとやりとりをして、バナーを貼ってもらったり、記事を作らせていただくもの。もう1つは「アドネットワーク」という、Googleなど、それぞれの会社のタグを貼っておくと、そこに登録している色んな企業の広告が表示されて、ユーザーがクリックをした数に応じてメディアに報酬を差し上げますというもの。PV至上主義になってしまったのは、後者のアドネットワークの影響も大きかったんだと思います。いかにたくさん表示させて、クリックさせるかが勝負なので、スマホでもクリックしやすいところにバナーが置いてあったりしますよね。あれってちょっと間違ってクリックしたら、チャリンってお金が入る仕組みになっているんですよ。でも、間違ってクリックしていくら人が来ても、何もモノを買わず、0.5秒くらいで帰っていったぞ! みたいなのが数字で如実に出てしまうので、クライアントも疑問を持ちますよね。

田中:そこで先ほどお話されたエンゲージメント率など、新しい指標が生まれつつあるということですか?

柏井:う〜ん、生まれつつあるんですけど、まだまだPV至上主義だなと思うことが多いですね。でも、バナーを貼ってクリックされても何も商品の価値が伝わらないぞということが分かってしまったので、それならメディアにお金を払って、コンテンツで商品の魅力を伝えようという時代に変わって来ている。だから今、ネイティブアドやオウンドメディアの市場が育ってきています。

田中:それでは、クライアントのお金の使い方の部分では変化があるということですね。

柏井:はい。でもこちらも2パターンあって、バイラルメディアといわれるメディアの多くは、今でもアドネットワークに頼っていると思います。というのは、やっぱりコンテンツの質があまり高くないと、読者から信頼されないメディアになってしまうんですよね。これは手前味噌な話になってしまうのですが、逆に『CINRA.NET』はずっとこつこつ記事を作ってきたメディアですから、コンテンツに対する信頼感をとても大切にしています。たとえPV数が10分の1でも、CINRA.NETで記事を作った方が、結局ちゃんと人に届くんじゃないかということで、こちらにお金を出してくださるという流れはあるのかなと、日々メディアを運営する中で感じています。

スマホの登場とGoogleがWeb編集者をつくった

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(C) Editors’ Lounge 2016

田中:今、僕の周りには、Web編集者という人たちがたくさんいるんですが、僕のイメージだと昔はWeb関係では、プログラマーだとかWebデザイナーが多かったような気がして。でも、最近は、そういった方よりもWeb編集者が増えてきているように思うんですが、柏井さんはどうお考えですか?

柏井:この2、3年でみんなスマホを使うようになったじゃないですか。これは、凄く大きな出来事だと思います。一般的なWebメディアのアクセスって、6割〜7割か、それ以上がスマホからのアクセスなんですよね。スマホサイトってあまりデザイン性が問われないから、あの小さな画面の中ではどんどんデザインが入る余地っていうのがなくなってきているように思いますね。

あと、2年くらい前からGoogle がWebメディアにとって重要な検索評価の方法を変えつつあるんですけど、これもまた、もの凄く大きな出来事でした。昔は、リンクが100個しか貼られていないサイトと1,000個のサイトでは、後者の方が評価が高いサイトになっていました。でも、そうすると、お金をもらって変なサイトを作りまくって、むやみにリンクを貼りまくる悪質なSEO業者が増えてしまって……。

田中:そうだったんですね。

柏井:Googleはそんな状況に怒って、もうこんな評価はやりませんってなったんですけど、そのあと新しく打ち出したのが、「コンテンツ・イズ・キング」という考え方。要するに、良いコンテンツをちゃんと作っているサイトを評価しますという評価指標に変えたんですよね。そうすると、これまでSEO業者にお金を払っていた企業の人たちも、コンテンツにお金かけなきゃという話になって、やっぱりいいWebコンテンツを作ることができる会社やメディアとかと付き合おうということで、どんどん「Web編集」という仕事が増えたのかなと思います。 CINRA.NETもGoogleの評価指標が変わってからPV数が一気に上がりました。

田中:なるほど〜。では、その評価指標が変わったこととWeb編集者の需要というのはリンクしているんですかね?

柏井:間違いなくしていると思います。CINRAも、Webのコンテンツを作ってほしいというご依頼が増えすぎてしまって、CINRA.NETの編集者だけじゃ全然追いつかなくなってしまいました。それで、他社のオウンドメディアのコンテンツを作るチームを編成しようということで1年くらい前から、Web編集者の採用を始めています。今は、森ビルさんや、経済産業省さん、クレディ・セゾンさん、資生堂さんなどのコンテンツを作らせていただいています。現在、絶賛採用募集中なので、ご興味のある方はぜひ。(笑)

田中:Web編集者に必要なスキルって他の編集者と何が違うんですか?

柏井:例えば、北野武さんにインタビューをしに行くとします。インタビューをしているときは、それがWebなのか紙なのかということは、そんなに意識しないで取材するんです。でも、記事のアウトプットが紙なのかWebなのかで、記事の作り込みは圧倒的に変わってきます。たとえば映画館に行ったら、2時間その映画と付き合わなきゃいけないし、雑誌とか本だったら、とりあえず30分は付き合えますとか、みんなある程度は我慢して付き合えると思うんです。でも、Webって面白くなかったら、瞬間的にさようなら! みたいなメディアなんですよね。
だから、どういう記事を作るかというと、なるべくキャッチーで面白い部分が先に出るよう構成したり、テンポよく楽しく読める配慮をしたりします。あとは、どんなに面白い記事を作っても、読むか読まないかの最初の判断は、タイトルや写真でほとんど決まってしまうので、いかに興味を持ってもらえるタイトルをつけられるかというところは、かなりWeb編集者にとって勝負どころです。タイトル1つのために1時間、2時間考えたりすることもしょっちゅうですね。

編集力は、「人と話す」ことで生まれる

田中:最後に、今フリーランスの人はもちろん、企業で働いている人も、時代の流れで勝負する単位というのがどんどん個人単位になっているなと思っていまして。そういう個で時代と勝負する中で、インプットの仕方でも見せ方でも、自己編集力って大切だと思っているんですが、柏井さんは普段自分の編集力を鍛えるためにやっていることって、何かありますか?

柏井:そうですね。立場的に編集長になると、黙っていても編集者たちが編集した記事をたくさん読まなきゃいけないんですよね。それを読んでいると日が暮れるんですけど(笑)。
それを読みながら、1つ1つ「ここはこうした方がよかったね」って話していることの積み重ねが、自分たちの編集力にはなっていると思います。

でも、一番初期の頃のことを考えると、やっぱり人と話すっていうことが、圧倒的に自分の編集力を作っていきましたね。今はライターさんに書いてもらうことが多いですが、最初は全部自分で記事を作っていたので、取材も自分でしなければいけない。そうすると、自分の意見や考えが覆されることがよくあるんですよね。たとえば「CDの値段3,000円って高すぎるから、もう少し安い方がいいと思うんですけど……」みたいな話を聞きにいったら、「いやいや柏井くん、それ2,000円にしちゃうと世の中に出せるCDのタイトルって3分の2になっちゃうんだよ。要するに、売上が少ない分世の中に出せるタイトルが減るから、売れるものしか作れなくなるけど、それでいいの?」みたいな話になったりして。そうやって自分の聞きたいことを色んな人に聞いて、思ってもみなかった答えが返ってきたときは、自分が開発されていくような感じがしました。


このたびは、呼んでいただいた田中さんを始めEditors’ Loungeの皆さま、寒い中ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。

柏井がイベント中に触れていたCINRAの求人情報はぜひコチラでチェックしてください!
https://job.cinra.net/company/cinrainc/

(第二部のゲストとして登壇予定となっていた清水亮氏が急病により参加できなくなり、内容を変更し、発起人福岡俊弘と高橋幸治による「シンギュラリティまでのラスト・ユートピア」と題したトークセッションを行いました。)

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