優秀な人材確保は採用サイトで決まる? 『採用ブランディング』編集部インタビュー

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ビー・エヌ・エヌ新社 編集部、荻野史暁氏

こんにちは! クリエイティブチーム・エディターの菅間です。

デザイン事例をまとめた『採用ブランディング』(2016年9月刊行)は、企業における「採用」をテーマに、Webサイト、フライヤーや冊子、動画といったあらゆるメディアを横断したクリエイティブの数々を紹介しています。
そしてこのたびCINRAが制作した『リクルートホールディングス2017年度新卒Web採用サイト』『廣栄堂 採用サイト』もこちらに掲載いただきました。

今回は、『採用ブランディング』編集者の荻野史暁氏に、企業の採用サイトも手がけるCINRAディレクター伊藤がインタビュー。

なぜ、いま各企業が「採用」に注力しているのか? 直接採用活動に取り組む人事・広報担当者だけでなく、プランナーやデザイナーといった制作メンバー全員が注目する、「採用活動のクリエイティブ」について聞いてみました。

いまや「デザイン」は、見た目だけを指す言葉ではない

伊藤:そもそも『採用ブランディング』を制作するきっかけは何だったのでしょうか。

荻野:『採用ブランディング』を出版する前にも、弊社では『会社と人をつなぐ 企業案内のデザイン』(2014年刊行)というコーポレートサイトの事例を紹介する本を作っていて、そのなかには「入社案内」、「IR・CSR」のセクションが両方あったんです。

でも、よく考えてみたら、「入社案内」、「IR・CSR」は、訴求する読者が異なるので、それぞれに見せたいデザインや要素が全然違うんです。だったら「入社案内」、つまり「採用」に特化して作ってしまえば、従来通りデザイナーさんの見本帳としてだけではなく、企業の人事の方も手に取ってもらえる本になるんじゃないかと思ったんです。

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伊藤:タイトルには「ブランディング」という言葉が入っていますが、『採用ブランディング』という名前にした経緯を教えてください。

荻野:最初は「採用案内のコンテンツ&デザイン」というタイトルで、コンテンツとデザインの実例集みたいにしようと思っていました。でも、いまは「デザイン」という言葉は目に見えるものだけじゃなくて、その中身であるコンテンツを含めて「デザイン」や「設計」だと言われ始めています。なので、見た目がおしゃれ、かわいいとかだけじゃなくて、どういうコンテンツで課題を解決して、他社と差別化しているのか、そのクリエイティブを紹介する本にしたいと思ったんです。そしてそれを一言でいうと「デザイン」よりも「ブランディング」じゃないかと思ったんですよね。

伊藤:コンテンツとデザインという両面で捉えた実例集は、他にもあるのでしょうか。

荻野:もちろんビジュアルを紹介する以上コンテンツにも触れることになるのですが、デザイナーのためのビジュアル集といったカタチが多いと思います。今回はデザイナーのためのビジュアル集としてだけではなく、発信者も制作者も含めた「コンテンツの作り手」たちを対象にした本が作りたかったんです。そこで、両者が一緒に考えていく例が多く、ユニークなアウトプットになることが多い「採用サイト」を扱うことにしたんです。

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BNN新社による「デザイン」シリーズのなかから、『商品と顧客をつなぐ カタログのデザイン』(2015年刊行)

小手先では解決できない、企業が抱える「採用」の課題

伊藤:ビジネス視点になると、どの企業も採用の課題はとても大きいですよね。例えば、商品販売のサイトなどでは、短期的に売るために打つ手はいくつか考えられますが、「採用」となると企業のイメージ作りも担っているので、長期的に施策を打たなくちゃいけない。そうなると、ほかの企業と同じ方法では解決できないんです。でも、作る側としてはチャレンジングなことができるからやりがいもすごくありますね。

荻野:その通りですね。そもそも、会社のビジョンが決まらないと、採用の文言も生まれてきませんし。

伊藤:今回、『採用ブランディング』のなかには紙や、イベントの事例なども一緒に載っていますよね。複数の媒体を取り上げたからこそわかった、Webの役割って何でしょう。

荻野:ほとんどの就活生がいま、就職支援サイトを使って企業にエントリーしていますよね。そうすると、当然学生は志望先のWebサイトを訪れて、情報を収集するようになる。すると企業も自然とWebのクリエイティブに注力せざるを得なくなります。Webサイトが中心にあり、採用担当者は自社サイトに就活生を呼び込むきっかけとして、学生さんと触れ合える説明会などのリアルな場や、紙媒体も大事にしていたのが印象的でした。あと、100社以上の採用サイトをみて感じた最近の流れとしては、「就活生にいっぱい応募してもらうためのWebサイト制作」というエントリー数の勝負ではなくて、「会社に合う人に来て欲しい」というマッチング重視の考えをした企業や人事が多いことです。

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企業や業界が抱えている「採用」の課題を、制作側はどんなアウトプットで解決するか?

伊藤:最近、ありがたいことに弊社でもいろいろな企業から採用サイトの相談をいただくようになりました。私たちが「いいな」と思うことをするだけではなく、依頼をいただいた企業の課題をちゃんと捉えて、「差別化」を意識しないと良い採用サイトにはならないと考えています。『採用ブランディング』に選出して掲載された採用サイトには、どんな「特徴」があったのでしょうか。

荻野:大きくは3つあります。一点目は、単行本にまとめるにあたり、なるべく実例のバリエーションを持たせることで、クリエイティブの幅や手法の違いを紹介したかった。二点目はWeb、紙など、媒体を横断しているという事例を出すこと。最後に、会社からのメッセージを伝える際の「切り口の面白さ」があります。『リクルートホールディングス2017年度新卒Web採用サイト』を掲載した理由の一つはそれですね。一通りの採用サイトみたいに、「企業の考え」「先輩社員の一日」といった模範解答ではなくて、一人ひとりの社員が会社に対する想いを語って、それを就活生に読ませる、ということに潔さを感じました(笑)。

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リクルートホールディングス2017年度新卒Web採用サイト』。社員一人一人をサイトのメインコンテンツとしている。

伊藤:ありがとうございます。依頼当初からリクルートさんとは、「事業内容が多岐にわたるため、会社のイメージがしづらい」という課題を共有していたから実現できた企画です。リクルートさんは最初から、スター社員を取り上げていきたいという思いがあったので、「スター社員はこういう人たち」という選ばれた社員たちを全面に出すデザインにしてみました。通常の採用サイトだと、いわゆる「先輩の一日」みたいに、親近感をもたせる形で社員を登場させたりするのですが、リクルートの採用サイトを制作するときは逆で、周囲が憧れるような「ほかとは違う人」が出ているサイトに見えるようしました。そのため、背景も撮影時からオリジナルで用意してカメラマンをつけて、社員を際立たせる工夫をしました。

荻野:なるほど。あと、CINRAさんの事例で掲載した『廣栄堂 採用サイト』は、「縦組み」のデザインによるインパクトも大きかったですね。「そうきたか!」と思い、クリエイティブの幅を感じました。

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廣榮堂 採用サイト』。縦組みのデザインが印象的。

伊藤:そうなんです。『廣栄堂 採用サイト』は、先方から制作当初「出る杭、求む!」といった、アグレッシブな人物を採用したい、というお話があったのですが、課題を聞いていくうちに、「地域おこし」や「丁寧に暮らすこと」に重きを置く意欲的な若者といった、求めている人物像が具体的にあることがわかったんです。「伝統や地域を大切にしながらも、新しいことにも積極的な企業」というメッセージが、Webサイトのデザインに現れているのかもしれません。「採用サイト」のクリエイテションを通じて、企業が持つ課題の発見と解決に挑戦できたことはよかったですね。

荻野:地方などの有名な企業で、すごく良い社内精神を持っているのに、その伝え方に苦戦しているケースは結構ある気がします。そういう、企業の大きな悩みを解決していく事例は、注目してしまいますね。たとえば、「パチンコ業界」「飲食業界」など、そのイメージによって人材確保に苦戦しているような業界は、「採用」の面で工夫していることが多いです。クリエイティブのやりがいがありますね。

伊藤:最後になりますが、この本を編集して、どんなことを感じましたか。

荻野:今回はデザイナーさんだけじゃなく、企業とか制作者さんに、採用で抱えている課題からお伺いしたことで、深いロジックや裏が聞き出せたので、なるほど! みたいな気づきはたくさんありました。採用サイトには見た目だけじゃないストーリーが隠されているんだ、と。

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いかがだったでしょうか。今回の対談で紹介しきれなかった、採用サイトの事例やコラムなども満載の一冊『採用ブランディング』をぜひ、手に取ってみてくださいね。


『採用ブランディング ― 採用サイト・入社案内のコンテンツ&デザイン実例集』
(ビー・エヌ・エヌ新社)

また、個々で紹介した採用サイト実績の『リクルートホールディングス2017年度新卒Web採用サイト』『廣栄堂 採用サイト』も、それぞれのリンクからご覧になれます。

そのほかにも、CINRAの制作実績はこちら

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