渋谷(CINRA)・鎌倉(面白法人カヤック)・福岡(ヌーラボ)による「そろそろどこが働きやすいか決めようか会議」に決着は着いたのか?

03.17.2015

渋谷・鎌倉・福岡 そろそろどこが働きやすいか決めようか会議

2015年2月、下北沢のB&Bにて「渋谷・鎌倉・福岡 そろそろどこが働きやすいか決めようか会議2015」が開催されました!

これは「日本のITクリエイター密集地」と呼ばれている3つの街で「結局どのエリアが一番働きやすいのか?」を決めてしまおうという、各エリアを代表した社長3名による討論イベント。即満席となった会場に「働く場所」への関心の高さが伺えます。まずは、自社紹介からスタートです。

杉浦太一・橋本正徳・柳澤大輔
左から杉浦太一(株式会社CINRA)、柳澤大輔(面白法人カヤック)、橋本正徳(ヌーラボ)※敬称略

渋谷・鎌倉・福岡対決1

「面白く働いていると、面白いコンテンツが生まれるんじゃないか? と思って17年前に仲間と創業しました」というのは、面白法人カヤック代表の柳澤大輔さん。鎌倉代表です。カヤックさんの主たる事業はWeb制作やソーシャルゲームの開発ではありますが、サイコロで給料を決める「サイコロ給」や、卒業制作を提出すればエントリーシートも志望動機も不要という「卒制採用」など、数々のユニークな制度や採用方法でも話題は尽きません。昨年、鎌倉唯一の上場企業になったことでも大きな注目を集めました。

そして、「さっき福岡から飛行機で来て、今日の便で帰ります!」というのはヌーラボ代表の橋本正徳さん。ワイヤーフレーム制作ツール「Cacoo」やプロジェクト管理ツール「Backlog」など、今やIT業界にはなくてはならない便利ツールの生みの親。なのですが、11年前の創業時は違ったようです。「Backlogのベータ版をローンチしたら、当時は『クラウドに情報を預ける』なんていう文化がなかったから、掲示板のようなサイトで『こんな小さな会社に、プロジェクトの機密情報なんて預けられないよ!』と書かれて、大炎上したんです。でも、その一件で知名度が急上昇したんですよね…」というエピソードも。現在は福岡に本社を置き、東京、京都、シンガポール、ニューヨークにも支社を構え、そのサービスは世界中で利用されています。(CINRAでも、ヌーラボさんのCacooをフル活用してお仕事しています!)

そして「どうして、渋谷代表がCINRAなんだ? って思ったんですけど、よく考えれば僕は生まれも育ちも渋谷区で、5回移転したCINRAのオフィスも、ずっと渋谷区でした」というのは、生粋の渋谷住民であり、CINRA代表の杉浦太一。去年は業務拡大のためシンガポールに住んでいましたが、帰国後はより「東京」を実感しながら働く毎日です。

以上3名の登壇者、全員が初めまして! という若干ぎこちない状況でスタートしましたが、司会の原利彦さん(博報堂ケトル/B&B)が次々と質問を繰り出し、突っ込み、盛り上げ、最終的には「どこで働くか」というテーマから「どんな社会的責任を果たすか」というところまで議論が白熱する2時間となりました。では、その模様をお伝えします!


密集地渋谷、助け合いのカマコンバレー、飲み会から抜けられない福岡



:まず杉浦さん、渋谷ってIT企業多すぎますよね。東京のスタートアップを集めた「スタートマップ」なる地図があったのですが、渋谷の密集度は段違いです。

スタートマップ
http://startmap.info/

杉浦(渋谷):多すぎですよね……あ、この黒い三日月みたいなのがCINRAですね(笑)。街を歩いていても、「どこどこが資金調達した」とか「そこWord Press入れる?」とか、そんな会話ばっかり聞こえてくるから、異常だとは思うのですが。でも、同業の友人が「今から行くよー」と会社に遊びに来てくれたり、さらっとご飯に行けたり、そんな気軽さはありますね。人や情報が向こうから入って来るんです。それって僕らみたいにメディアを運営する上では、良い環境かもしれない。CINRA.NETはカルチャーメディアなので、ライブハウスや音楽事務所が近くに多いのも利点です。

:ここ最近でまた、渋谷は盛り上がってきてますよね! 一方でカヤックさんは、鎌倉自体を面白くしようぜ、という活動をされていますよね。カマコンバレーとか。

柳澤(鎌倉):取材で「シリコンバレー」からもじってそう呼ばれたのがきっかけで、その名前を使い続けていたら「日本のシリコンバレーはここだ!」ってフィリピンからの視察も来たりして。いやそれは違うだろう、と(笑)。
鎌倉はコンパクトな街の中に、様々な要素が混ざり合っている状況がすごく良いんです。そこでお互いの会社を伸ばし合おうといって10社くらいでカマコンバレーをスタートしたら、現在は法人会員20社以上、個人でも70人以上の会員がいる集まりになりました。カマコンバレーの経営者同士は仲が良くて、集まってお互いの事業計画をシェアしながら、問題点を指摘しあったりすることもあります

:シリコンバレーといえば、福岡も「アメリカ西海岸のようなスタイルで福岡で働く人々」という記事が話題になっていましたが…

Lifehacker
http://www.lifehacker.jp/2015/02/150215fukuoka_style.html

橋本(福岡):いや…うーん……むしろ僕もそういう風に働きたいんですけど…。確かに、一部そんな働き方をしている人たちもいますが、まだ少数派ですかね。でも、福岡は今そういった形でのメディア露出が増えているので、それを見て移住してくる人は多いです。
しいていえば、福岡は空港が都市部に近いのであまり高い建物が建てられないんですよ。なので、「プロジェクトが上手くいかない上に、外に出ても高層ビルに圧迫されて辛い」みたいな状況にはならないのは、良いです。夜は道の両脇に屋台が出て、そこで飲んで帰ることも出来ますし。

:最高ですね〜。渋谷のコンクリートジャングルとは違う、と。

橋本(福岡):ただ、福岡では「衣食住酔」がセットになっていて、それが難点でもあります。東京だと「終電がありますので」と飲み会から抜けられるじゃないですか。福岡は、タクシー初乗り520円、そしてみんな2,000円以内で帰れる距離に住んでます。今なんて配車アプリのUBERが無料で乗車出来る実験までしているので、ますます飲み会から脱けられません。


「地域活動において、ITは主役ではなくあくまで黒子」(柳澤)



:では杉浦さん、渋谷の嫌なところって何でしょう?

杉浦(渋谷):まず、家賃が高いですよね。あとやっぱり、金曜夜の道玄坂はちょっと……。歓楽街ですし、明らかにクラスタが違う人がいるので、自分の心地よいテンポを守れないですよね。でも、生活する上でそういう自分たちとは違う種類の雰囲気というか、ノイズが少しでもあることって、重要だなぁと思ってます。家と会社の往復だと、どうしても視野が狭くなっちゃうし。

:鎌倉の嫌なところは?

柳澤(鎌倉):これは贅沢な悩みではあるのですが、鎌倉には「想い」のある人が多いんですよ。NPO発祥の地ともいわれていて、数多くのNPO団体が活動しています。だから、子どもの教育からゴミの分別に至るまで、意見を持った方が多いゆえになかなかまとまらないという難しさはあるかもしれません。

老後の暮らす場所として鎌倉を選んだ方は「何も変わらないこの場所が好き」ということもあるのかもしれませんね。でも、本来変わらないということはなかなか難しくて、変わらないために頑張るという必要もあるんだろうとは思います。

:そうすると、IT企業が鎌倉に参入するのは難しそうに聞こえますがー…

柳澤(鎌倉):そういう部分はあるかもしれませんね。でも、地域活動においてITは黒子だと思うんです。どんなビジネスでも発信のお手伝いをしたり、繋いだりすることが出来ます。お金を集めたい! という活動団体がいれば、僕らがクラウドファウンティングでサポートしたり。そういう側面では、いろいろと役立てることもあるのではないかなと。

渋谷・鎌倉・福岡対決3

橋本(福岡):福岡は「福岡移住計画」だなんてプロジェクトもありますし、国家戦略特区に認定され「グローバル創業特区・雇用創出特区」を推進しています。だから、外から福岡への入りやすさ、つまり「入りリティー」はものすごく高い。「あの人は東京から来たから、お仕事発注してみよう!」と、みんながチヤホヤしてくれるんです。まぁ、半年もすれば普通に取り扱われるのですが…。


3社が求める人材、そして街が求める人物像とは?



:本日は一応転職イベントですので、自社に必要な人材や、ひいては自分の街に来てほしい! という人物像を教えていただきたいです。

橋本(福岡):えー、ヌーラボでは現在、総務、会計、コミュニティマネージャーを募集しています!

ヌーラボに限らず福岡全体でいえば、やっぱりメディアを通して届いている福岡の姿は田舎暮らしなどの側面が多いので、「のんびりしに地方に行くぞ」と思う方も多いかもしれません。でも、実際地方はそれを求めていません。
ヌーラボは自社サービスを開発して、世界展開して完全に環境が変わりましたが、福岡自体も徐々に変わり始めています。これまで、起業に関心が薄かった人も、アクセルを踏み出したんです。前までは「東京から仕事を受注すれば良いや」って安心していたのが、今は熱が高まってきています。
小さな都市なので、福岡ではまるで自分が街の重要な登場人物のように感じてしまう。だからこそ「田舎暮らし」に憧れるのではなく、「ひと暴れできる環境があるぞ!」という意欲で来てほしいですね。

杉浦(東京):渋谷にはこれからヒカリエのようなビルがいくつも建設されます。六本木にも高層ビルがどんどん増える。東京の都心部はかなり異常な状況になって、同時に僕らのような広告・メディア産業ではそれがお金になります。でも、東京で働く僕らはそこに浮かれるんじゃなくて、オリンピックが終わった2020年以降をどう見据えるか、というのが重要だと思います。高齢化して、労働力が少なくなった「東京」が世界からどんな評価を受けるのか。世界的に良い事例となることが出来るのか。その時、東京の真価が問われるわけですが、その一翼を担えるような会社になりたいし、そういう人と働きたいですね。
あ、CINRAではディレクター、デザイナー、エンジニアを募集しています!

:それってもう全職種ですね(笑)。

柳澤(鎌倉):みなさんガチですね。では、カヤックでは人事と編集者、カスタマーサポートを募集しています。カスタマーサポートといっても、「面白い返信が書ける」人材を探しています。つまり、おもてなしが出来る人です。

働く街に関しては、結論じみたことをいってしまうと、どこが便利だとか言っている間は楽しくないかもしれない。それって、便利な土地に引っ越しちゃえば終わりですもん。そうではなく、「自分がこの街を創っていく」という意識を持つと、途端にその街が楽しくなります。

カヤックの業務とは別に、「まちづくりもみんなで関わっていこうよ!」とカマコンバレーとしてIT企業を鎌倉に呼び込んでみると、どんどん活気が出てきた。通常は大企業になるほどに地球の環境にも責任を持つものですが、小さい企業であっても責任があって、その積み重ねで地球が出来ているとしたら、自分たちの働く地域には貢献していきたいですから。

渋谷・鎌倉・福岡対決2

—このように、「渋谷・鎌倉・福岡 そろそろどこが働きやすいか決めようか会議2015」は多いに盛り上がりました。が、結局主題とっている「どこが働きやすいか」は決まりませんでした。
それぞれ社長たちは「どこが働きやすいか」というよりも、「どのように働き、環境を創っていくか」を考えていたようです。でも、それを知れたことの方が有意義だったのではないでしょうか?

主催の原さんはじめ、B&Bのみなさま、そしてご来場くださった皆さま、ありがとうございました!



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